INTERVIEW

垣根を越えた多様な価値観が力になる!
誰もが移動をあきらめない
世界を目指す
「Universal MaaSプロジェクト」

ANA 企画室 MaaS推進部(出向先)

大澤 信陽 Nobuaki Osawa

INNOVATION STYLE インタビュー

祖母の言葉と笑顔が
プロジェクト発案のきっかけに

“誰もが移動をあきらめない世界へ”をコンセプトに、2018年に始動したUniversal MaaS(ユニバーサル・マース)プロジェクト。「ANAバーチャルハリウッド」によってANAグループの社員29人が集結し、ほぼ毎日のように熱い議論を重ねながら、仮説・実験・検証を繰り返してきました。 プロジェクトの発案は2016年、岡山県に住む祖母の「生きていてよかった!」という一言がきっかけでした。祖母は90代で、外出するときには杖や車イスを利用しています。そんななか、私に子どもが生まれ、「ひ孫の顔を見に東京へ遊びに来て」と声をかけても、「道中で他人に迷惑をかけたくない」と言って東京への移動を躊躇していたのです。私たち家族が祖母の背中を押してようやく対面が実現したとき、祖母は満面の笑みを浮かべて「会えてうれしい。生きがいができた」と、とても喜んでくれました。この経験を一人でも多くの人に味わってほしい。そんな想いから、誰もが移動を躊躇しない仕組みづくりを思い立ったのです。

祖母と娘の対面(2016年)と、その2年後に描いた最初のモビリティ構想メモ

当初は、“誰でも自由に移動できる社会”をコンセプトに、イス型のパーソナルモビリティと自動運転を組み合わせたドア・ツー・ドアの移動サービスを考えていました。その後プロジェクトメンバーと意見を交わすなかで、高齢者や障がい者、訪日外国人など、何らかの理由で移動を躊躇している人たち(移動躊躇層)を対象にしたUniversal MaaSという考え方に進化していきます。これは、いろいろな種類の交通サービスを、需要に応じて利用できる一つの移動サービスに統合するMaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)の概念に、より多くの人に使いやすくするというユニバーサルデザインの思想を重ねたもの。具体的には、出発地から目的地までの各サービス提供者(事業者)が連携して、お客さま(移動者)がストレスなく楽しく移動できる社会の創出を目指しています。ちなみに、「Universal MaaS」はメンバーと一緒に考えた造語で、この考え方を広く社会に浸透させるために商標登録も行いました。

Universal MaaS

プロジェクトメンバーと議論を重ねる中で生まれたUniversal MaaSのロゴ

共感した社員とチームで活動できる
ANAバーチャルハリウッド

Universal MaaSプロジェクトが始動するきっかけとなったANAバーチャルハリウッドは、ANAグループの社員なら誰でもエントリーできる自発的提案プログラムです。役員へのプレゼンテーションで賛同を得られると、グループ内の約4万5000人(2020年3月末時点)の社員を対象に、所属する会社や業務の枠を超えてプロジェクトに共感する仲間を募ることができます。当プロジェクトにも、ANAシステムズの社員3人をはじめ、客室乗務員、地上旅客係員、整備士、そして何らかの障がいを抱えている社員が集まり、それぞれの視点から活発に議論を交わしてきました。

併せて、他の交通事業者、福祉・医療関係、製造業、自治体、大学など異業種の方々にも積極的に話を伺い、企画に反映させています。2019年7月からはANAに新設されたMaaS推進部に活動の場を移し、ANA、京急電鉄、横須賀市、横浜国大による産官学共同プロジェクトが本格スタートしました。ここでは、今まで個別にサービスを提供してきた各事業者が連携することで、移動躊躇層のシームレスな移動はもちろん移動をサポートする事業者の課題解決も目指して、双方にメリットのある仕組みづくりを進めています。

価値観の違う人たちとの共創が
「できない」を「できる」に変える

発想から2年ほど経ちますが、日々奮闘しています。アイデアを実現化しようとすると、目の前に立ちはだかる難問の数々。とはいえ、できない理由を並べてあきらめることは絶対にしたくないので、「どうすればできるのか」というスタンスで課題と向き合い、壁を乗り越えてきています。 そこで大きな力となるのが、自分とは違う視点や価値観を持っている方々との共創です。多様な意見に触れることで前例や先入観から解放され、「できない」が「必ずできる」に変わっていく。私の個人的体験がプロジェクトに発展できたのも、そのような方々と共に考え、活動してきているからこそだと思っています。

実際、企業や団体だけでなく、障がいを持っている方々やその御家族など、プロジェクトを通じて知り合った仲間の輪もどんどん広がり、よりイノベーティブな議論につながっています。その原動力になっているのは、Facebook上で個人運営している誰でも参加できるコミュニティです。当コミュニティ配下には5つのテーマ別グループがあり、それぞれのテーマに沿ってざっくばらんに意見交換しています。 私自身も、それらでの活動をきっかけに酸素ボンベが必要な子どもたちの旅行をお手伝いしたり、マラソン大会の車イス部門に参加したりと、いろいろな体験を通して相互理解や気づきの機会を得ています。障がいを持つ友人も増え、彼ら彼女らのために何とかしたいという想いも活動の原動力になっています。良い意味での“公私混同プロジェクト”ですね(笑)。

拡大するUniversal MaaSコミュニティ
5つのテーマ別グループ

Facebookグループ: https://www.facebook.com/Universal.MaaS.Community/

目標は、2025年~2050年に誰もが移動をあきらめない世界を実現すること。現在は、点と点がつながってようやく一本の線になり始めたところなので、たくさんの線を大きな面にして、日本全国、そして世界へとUniversal MaaSのコンセプトや仕組みを広げていきたいと思います。

MAKE AN INVENTION!

インプットの量を増やし、どんな小さなことでも興味を持ったことを掘り下げて考えてみよう。
あきらめたらそこで終わり。どんな障壁があっても、本当にやりたいことなら熱意を持って続けられる!

Profile

総務部 総務チーム 榊原 利基
2001年〜 ANAシステムズ(当時、全日空システム企画)にて国際線旅客システムの開発を担当(プログラマ)
2003年7月~ Web関連システム開発/運用を一通り経験(SE、プロジェクトマネージャ)
2018年7月~ ANAデジタル変革室(当時、業務プロセス改革室)にて、AI、IoT、ウェアラブル、ロボティクス、自動運転関連を中心に新技術を追求。一方で、ANAバーチャルハリウッド(ANAグループ社員による自発的提案活動)のディレクターを務め「Universal MaaS」を生みだす。
2019年4月~ ANA企画室にて、引き続きMaaSのあるべき姿や「Universal MaaS」を追求
2019年7月~ ANA企画室内に新設されたMaaS推進部へ

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